高血圧症とは
血圧とは、心臓から血液が動脈(血管)へ送り出される際に血管壁にかかる圧力のことを言います。診察室血圧140/90 mmHg以上、家庭血圧135/85 mmHg以上を示している場合に高血圧症と診断されます。
血圧が高くても自覚症状が現れることはほとんどありません。高血圧は動脈硬化の原因となり、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、心臓病(狭心症、心筋梗塞など)、腎臓病といった合併症を発症したことで初めて高血圧に気づいたという患者さんも少なくありません。そのため、日頃より血圧を測定し、数値が高い場合には受診するようにしましょう。
ぜひ家庭血圧の測定を
ご家庭で血圧を測定することにより、ご自身の血圧のタイプ、例えば、早朝高血圧(朝の血圧が高い)や白衣高血圧(家では正常値なのに、病院で測定すると血圧が高くなってしまう)などを知ることができます。最近の様々な研究結果から、心臓病や脳卒中の発症を予測する方法として、診察室血圧よりも家庭血圧のほうが優れていることが分かってきました。このため、日本高血圧学会のガイドライン2019(最新版)では、高血圧の判定の際に診察室血圧よりも家庭血圧を優先しています。当クリニックでもお一人おひとりの家庭血圧を把握するために、血圧手帳をお渡しして家庭血圧を記録していただくようにしています。
治療について
高血圧症の治療の目的は、血圧をしっかりコントロールして合併症を防ぐことです。初めに、不摂生な生活習慣(過食・肥満、塩分の過剰摂取、喫煙・多量の飲酒、運動不足、ストレス など)を改善していきます。食事面で最も大切なのが減塩です。さらに野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心掛けましょう。肥満の方は適正体重をしっかり把握し、減量を心がけてください。また運動は血圧を下げる効果が期待できるので日常生活に取り入れるようにします。これらを継続しても血圧のコントロールが難しければ、降圧薬による治療を開始します。降圧薬は種類・用量ともに豊富に存在しますので、患者さんごとの症状や合併症を考慮して選択していきます。